「たとえあいつが俺を必要としてなくても、俺があいつが必要なんだ。」
「…」
「思わせ振りな態度をとってたならごめんな。それに、気づけなくてごめん。」
今思い出した。
入学式、名波に俺から話しかけたんだ。
それに、俺はきっと。
名波のわかりすぎるくらいの態度を、見ようとしなかったんだ。
気づかないふりしてた。
それが名波を傷つけない方法だって。
でも、面と向かい合わなきゃ、意味がなかったんだよな。
逆に傷つけてた。
ごめん。
「吉田くん…」
「俺はあいつがいないとダメなんだ。カッコ悪いだろ?…ごめん。あいつ追いかけなきゃ。」
「…ありがと。」
「え?」
「私と向かい合ってくれてありがと。ごめんなさい。彼女さんとの仲…。」
「名波は優しいな。大丈夫だよ。俺とあいつの仲はそんなんじゃ壊れないから!」
「彼女さんのとこ、行って?」
「…ありがと!」
それだけ言うと俺は走った。
きっと知らない校舎で愛梨もわからないと思う。
けど、どの学校にもあって、どの学校のある場所は変わらない。
屋上だと思うな。