「ヨシッ!」


「うっ…」

駅につき歩いていると
拓海が飛び付いてきた。


「ハハッ!」


「拓海…お前さ、いつもいつも飛び付くなって!」


「ヨシ何で今日髪結わいてんの?」


おい。
俺の話は無視かよ?
まあいいけどさ。


「…愛梨が結わいてくれたから」


朝から俺は愛梨の髪を結わいて、愛梨が俺の髪を結わいてくれた。


「へ~彼女ちゃんが!ヨシ、さらにモテんじゃん!」


「は?」


なにいっちゃってんの?
モテるわけないじゃん。
と言おうとしたら…。


「気づいてないの?うちの生徒も、他校生もヨシを見てるからな?」


…まあ…。
今日はいつも以上に視線を感じるが…。


「好意を向けられてるとは限んないじゃん。」


「いゃいゃ。完璧にみんなヨシをハートの目で見てるから!」


「ハート目って…」


「ま、モテる男は辛いってことよ!」


何て言いながら、拓海はその女の子達にウインクを返していた。


…俺じゃなくて、拓海を見てんじゃねぇの?



なんて。


俺も拓海も自分自身だとは思わなかった。

本当に見てたのは俺も拓海もだったんだ。