タツは、私の腕に気付いてなかった。

だから黒龍へ戻って行った。

今なら分かるのに。
あの時はただ悲しくて、寂しくて――

タツに見捨てられたって、そんな気持ちすらあった。





「私はその日からずっとこの傷を隠してるの。いつもしてるテープで。何年も……何年も」

何年ぶりだろう。
このテープをずっと外してるなんて



「カズと約束したの。この傷を、誰にも話さないって……2人だけの秘密にした」

つたなく隠し続ける私にタツは何も訊いては来なかった。