低い声――
地の底から響く声――

怖くて竦む程の。


扉から入ってきた、別の男


「俺達を此処から出せっ」

カズ止めて。

そう思うのに、手が足が口が…

どれも思うように動かない


男の右手が―――


「潰すんだよ、黒龍を」


弄ぶように、閉じたり開いたり…
月明かりで鋭く光るソレ


「今日こそ遂にな。…それまでお前らに動かれたら困んだよ」


黒龍の倉庫では一度も見た事の無い、日常でも滅多に見る事の無い


「大事な人質なんだ」


目を細めて笑った……

それが何より不気味で。


右手で光るナイフと一緒に、目の奥も光った気がした