「それっ……刃物痕か?」

流石の祐でも言葉がふざけてない。


こんな傷、この世界に居たら見慣れるのに…誰一人、冷静では居られなくなった。



「……妹尾和也、確か逆腕に似た傷があったな」


訂正。
いつでも冷静な樹が居た。





「妹尾和也…確かに右腕に切り傷があったな。傷の経緯は不明とされてるけど……」

「カズとのね、約束だったの。この傷は誰にも話さない、2人だけの秘密………だった」

「だった?」

「うん。今日ね、カズにも会ってきたの。全部思い出したって。皆に……全部話したいって」


遂に頬を伝った涙

その一滴は鈴によって素早く拭われた。