――コンコン。

「鈴さんをお連れしました」


入ってきた鈴は、見慣れた鈴だった。


知らない格好で、知らない男の香水を身に纏ってた数分前……

本当にどこかへ行きそうな、そんな雰囲気は今はもう無い。


どちらかとしたら、最初に見たような…強い瞳をしてる


「…………」

「…………」

長い沈黙が部屋を占めた




「鈴。また……もう帰るのか?」

耐えきれなかったのか声を出した光に、小さく首を振る鈴


「話したい事があるの。………聞いて欲しいの」


その声は、どこか震えてたような気がした