蓮司達、紅燕の妨げを上手く掻い潜った私は黒龍のアジトへ向かった。


この時間なら、家じゃなくアジトに絶対居る。

便利な現代社会の代名詞である携帯があっても、私はカズの番号を知らない。



駅からあまり遠くない距離

歩き馴れた道―――








「総長の妹尾和也に会いの。鈴って名前を伝えて欲しいんだけど」

黒龍の倉庫に着き、間近にいた兄さんに声をかける。

向こうにしたら良い迷惑だ。
知らない女がいきなり総長に会いに来た。
……普通なら取り次ぐ馬鹿は居ないだろう


「何だ、てめぇは。帰れ馬鹿」

うん。そうくるよね…