固まった私とは裏腹に、樹が立ち上がった。



立ち上がったままその場を動かない樹。

不信に思いに顔を上げると、いつもの静かで穏やかな目と合った。

また、大丈夫と言われた気がした。



樹は不思議だ。

目に、私を安心させる力がある。

言葉が、私に力をくれる。



そんな樹が私の腕を掴み、立たせてくれた


「――樹!蓮司を煽るのは止めろ」

ずっと黙っていた翔太まで、意味の分からない事を言う