喧嘩だとすぐ分かった

蓮司が樹を殴り、光達が間に入ってる状況だと。

理由は分からない。


だから言葉のままに、気持ちのままに動いてしまったんだ


―――――樹の元に


「樹……傷が」

切れた口の端に赤くなった頬

私をかばい殴られてた樹を思い出し、無意識にそっと手を伸ばした


「止めろ」

怒気を含んだ低い声


顔も見えないのに、たった三文字なのに、私はその声に動けなくなった


「蓮司止めろ。鈴に当たんな」

視線が突き刺さる背中が、ホントに痛く感じる