鈴が居る限り、か。


静かに男に歩み寄る。





生憎、俺は今機嫌が悪いんだよ。


「それ以上喋ってみろ。てめぇ、殺すぞ」

募る激しい苛立ち。

その衝動を抑えたのは腕に抱く鈴の存在


治まらない怒りを何とか抑え、また歩き出す



「お前がその女を――っぐふぅ」

鈍い音と声。

振り返った先には再び地面に倒れた男と光の姿


「悪ぃな蓮司。……聞きたくねぇわ」


それには応えずにまた歩き出す。




もぅ、大丈夫だ。

帰ろう。紅燕へ―――