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「・・・・どうした?美咲」
先生は旧音楽室に来てから、上の空になっているあたしを心配していた。杉山くんの事すっかり忘れちゃってたから、浮かれてたけど・・・この問題があるとなると、何だか素直に喜べない。
「何でもないです」
「何でもないって顔してないけど?」
先生はピアノの前から立ち上がり、あたしの隣りに移動してきた。
「こっち向いて、美咲」
優しく甘い声を出されて、あたしの心臓は大きく跳ね上がった。
「ははっ・・・・すごい心臓の音」
先生にまで音が届いたらしく、クスクスと笑う。あたしは恥ずかしくなって俯いた。
だけど、先生の手があたしの頬を挟んで、あたしの顔を上げさせた。
「こっち、向いて」
うぅ・・・・恥ずかしいよ・・・
「・・・・先生・・・・っ」
「ん?」
「恥ずかしいです・・・」
「こうでもしないと、美咲は俺の事見てくれないでしょ?」
そして優しくて、綺麗な微笑みに、あたしの顔が一気に熱を持った。
「・・・・・キス・・・・していい?」
えぇぇぇぇーーーーーーーーーーーっ!?
あたしは声に出せない叫びを心の中で出し、全身がカチコチに固まってしまった。