「ねぇ、美咲・・・・・これだけは約束して?」
沙絵子が突然、あたしを後ろから抱きしめ、真剣に口にした。
「何か辛い事とか、悲しい事とかあったら、必ずあたしたちに相談して?絶対に一人で抱え込まないで」
「・・・・うん」
どうしてそんな風に言うのか、あたしには理解が出来なかった。今までだってあたしは2人に相談して、いつも2人が解決してくれてたのに・・・。
「それと、相手が教師、美咲は生徒だって事、忘れちゃダメよ」
この時、沙絵子の言った本当の意味があたしには分からなかった。先生と生徒が恋をすると言う事が、どれだけの障害がある事なのかも・・・。
ただ、この時のあたしは、恋が実ったって事で周りの事が見えてなかったんだ。
今日、ホームルームや、和泉先生の授業ではまともに先生の方を見れなかった。まだ自分が告白したと言う事実の恥ずかしさが抜けていなくて、どんな顔をすればいいか分からなかったんだ。
それでも、旧音楽室には向かっていた。もうそれがあたしの日課になっているから・・・。
だけど、向かう途中に杉山くんに呼び止められた。
「椎名!!」
「・・・・・杉山くん」