先生はあたしの手をグイっと引っ張り、あたしの体を引き寄せて抱きしめた。
二つの心臓が重なり合って、どっちの鼓動か分からなくなった。
「美咲・・・」
耳元で名前を呼ばれ、抱きしめられる腕に力が込められる。
先生の腕が温かくて、あたしの頬に涙が流れ落ちた。
「先生・・・・っ」
ゆっくりと先生の背中に腕を回し、震える手であたしも抱きしめ返した。
お互いの温もりを感じ合うかのゆに、しばらくあたしたちは抱き合っていたんだ。
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頭の中で何かがジリジリと大きく鳴っている・・・・
「・・・・・・・・・きっ」
誰かがあたしを呼ぶ声が聞こえる・・・・
「・・・・・・・さきっ!!」
誰・・・・?
「美咲っ!!」
ガンっと頭に声が響き、あたしはビックリして飛び起きた。
そして、ベッドの横に人影がある気配がして、顔を上げると、呆れたようにお兄ちゃんが立っていた。
「・・・・・お兄ちゃん」
「お前、目覚まし鳴ってるのに何で起きないの?」
「・・・・・・ごめん」
「んとに・・・毎朝、毎朝・・・・」
お兄ちゃんは小さく溜息を零していた。