「あたしは先生を・・・見てるだけで良かったっ・・・・毎日ここで会えるだけで良かったのに・・・ッ・・・・ごめんなさいっ・・・ごめんなさい」

遂にあたしの目からは涙がポロポロと溢れ出した。こんなに自分の気持ちを素直に伝えるのも初めてだったから・・・。

そして、あたしは何か暖かいものに包まれた。先生があたしを抱きしめてくれたんだ。


「もういいよ。椎名・・・もう十分だから」

優しく耳元で先生の声が聞こえてくる・・・そして先生はあたしの頭をゆっくり撫でてくれた。









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「おーい、美咲?」

真海がポーっとしているあたしの顔の前で手をひらひらして呼びかけている。

旧音楽室から教室まで、あたしはどうやって帰ってきたかあんまり覚えていない。

「何かあったの?」

反応がないあたしを心配そうに見つめる沙絵子。

「先生のとこに行ってから様子が変だけど・・・」

「先生と何かあったのかな?」

2人の会話が微かに聞こえてくる・・・先生と聞こえた瞬間、あたしはあの部屋での出来事を思い出し、ドクンドクンっと行動が速くなって、みるみると顔が赤く染まった。