こんな時いつも思う。
一人は寂しいと



まだ実家にいた頃、熱の時には決まって食欲が無くなる私のために、母が作ってくれるのは野菜スープ。


体の中にジンワリと浸みわたる優しい味





「困ったなぁ」


呟いた声はむなしく部屋に響くだけ




こんな時、誰か一緒にいてくれたら……





弱った体と心に、そんな甘えた考えが浮かぶ。



「しょうがない、飲んで寝よう」



せめて心だけでもと、奮い立たせてクスリ箱を開く。
鎮痛剤を出して飲み込もうとした時




ピンポーン


玄関のチャイムが鳴った