「あっ、桜井君♪良かったぁ、会えて、
ねぇ、今日の後での約束なんだけどぉ…」
下田さんが話しかけてきたが、俺はどうしたいか決まっていた。
「下田さん、今日は悪い、
店とかはいいや。
部活後は行きたいとこあるんだ。」
「えぇ~いいのぉ?
せっかく選べそうだったのにぃ
行こうよぉ…」
体を近くにし、コッソリと話してくる。
だが、正直、今の俺は相手にする気にならなかった。
だから、無言で横を通り体育館へと入った。
「桜井君っ!待ってよ、
いいの?喜ぶもの選びたいって
張り切ってたじゃないぃ」
それにも「とにかく今日は無理」とだけ返事して後にした。
…*…*…*…*…*…*…
体育館に入ると9割の選手がすでに集まり、準備体操などしていた。
真人はチラッとこちらをみたが、あからさまに“フンッ”て顔をあっちに向けてしまった。
俺は急いで更衣室で着替えて合流した。
だが2年を中心に、俺に向ける視線が冷たいのは、きっと気のせいじゃない。
咲希の体調が気になりながら、俺がしてしまった最悪なこととは何か…考えていた。
横扉の近くでパス待ちしてると、さっきみたいにまた、噂話が耳に入る。
「星谷さん、振られて倒れたとかちょ~悲惨~」「昼も帰りもべったりらしいよ、下田さんとぉ」……
耳を塞いでしまいたかった。