6時間目はまったく頭に入らなかった。
終わりが告げられた瞬間、教室を飛び出して保健室へと向かった。
…*…*…*…*…*…*…
「失礼しますっ…」
中に入ると養護教諭がこちらを見て「どうしたかな?」と聞いてきたから「星谷さんは?」と聞いてみた。
「あぁ、星谷さん。
6時間目始まる頃、お家の方が迎えに
みえて、もう帰宅したとの連絡も
受けてるけど?忘れ物でもあった?」
「あ……いや、じゃぁ、いいです」
俺は無意識にも教室に戻り、荷物をまとめて部活へ向かおうとしていた。
すると廊下で噂話が耳にすうっと入った。
「あ、ほら、桜井君だ…
やっぱさぁ、真面目ちゃんじゃ
つまらなくなったんじゃん?
下田さんと放課後デートも
学食でランチデートもしてたって話じゃん」
普段なら注目に慣れてるせいか、噂などはそのままスルーしていたのに、何故か今はその噂話が俺の直ぐ横で話されてるみたいに、はっきり聞こえた。
なんとか体育館入口まで行くと、清水と下田さんが言い争っていた。
「だからっ!竜斗はまだ来てないから。
別に隠してないから、邪魔だよっ!!」
「桜井君、出してよ、あんたらの
仲間があたしを近づけんなとか
言ったんだからねっ!!」
「あっ、竜斗!!どうにかしなさいよっ」
清水に気づかれ怒鳴られた。