真凛ちゃんは午後から用事があるとかで、帰ってしまったので、私は中庭の一番端にある、ベンチに座り、持ってきたおにぎりで、昼食にしていた。


2つ食べ終わり体育館の方を何の気なしに見ていると、白枝の選手数人と、その後ろから竜達がこちらに歩いてくる。


その中に後藤の顔を見つけ、私は背筋がゾッとしたが、緊張と恐怖感で動けずに、ただ、そちらを見つめていた。


後藤が集団から離れて、一人で私の前に立った…その瞬間、私は横から腕を掴まれて、よろけながら竜の腕の中に収まった。


後藤は、目を見開き驚いた様子をみせてたが、直ぐに気を取り直したらしく、話しかけてきた。


「咲希ちゃん、久しぶり…
あっちに暴力兄貴も居たね、
まだ、バスケ、してたんだなぁ…
ま、いっかぁ…
それより、光理の人…咲希ちゃんのこと
離してくんないかなぁ
俺と大事な話がある…「ありませんっ!!」


私は、兄を侮辱する勝手な後藤の話しに頭にきて、思わず話をさえぎり大声を出していた。


竜は、キュッと少しだけ腕の力を入れてくれて、それがまるで“大丈夫だ”と言ってくれてるようで、嬉しかった。


「へぇ~ずいぶんと、変わったんだ?
強気な咲希ちゃんもいいけどね…」