「なんな訳?あれじゃ、
まだ足りない?」
呆れたような声で睨みながら聞かれる。
「なぁ、清水、俺さ…
咲希のこと本気で、一番…
大切な好きなやつなんだ…
だから、その咲希を…
傷つけるやつは…誰であっても、
たとえ女でも…許さない、
許せないんだ…
俺は咲希以外は考えられない…
どんないい女って言われるやつが
告白とか、してくれても…駄目なんだ。
だから、もう、咲希のこと
あんな風に傷つけないでやって
くれないかなぁ…
頼むっ!」
そこまで言って頭を思いきり下げて清水の返事を待った。
数人残ってた部員は、きっと昼間の話と見当がついたのか、近づいたりせずにほおっておいてくれた。
どのくらい無言で頭を下げ続けただろう…
「ふぅ…
もう、頭…上げてよ…
分かったから…竜斗の気持ちは…
私も…言い過ぎたって…思うから
もう、部室に来ても何も言わないわよ…
あの子に…“悪かった”って
言っといて… 」
そう話すと離れていった。
頭をあげ、“はぁぁ~”と大きくため息。
いつの間にか着替えた真人が側にいて「頑張ったじゃん、お疲れ~」と言いながら指で中庭を指す。
『あっ、いつもより待たせてるっ!』
「じゃな!」真人に素早く挨拶し、急いで身仕度をしたのは言うまでもない…。