「まだ…ほんの少ししか付き合って
ないんだろ?
あんな、非常識なやつらの一人
となんて、付き合うなよ…
他にもっといいやついるって…」
兄はそんな風に言う。
私が傷ついたことを自分のことのように、怒ってくれる兄のことは信頼してるし、大好きだ。
でも…それでも…
「おにぃ、ちゃん?
私…初めて…
初めてできた好きな人が…初めての
彼氏で…これって凄い、よね?」
2、30分も泣いていただろうか…ようやく収まって真っ赤な目と鼻と…とにかくぐちゃぐちゃな顔の私は何とか自分の想いを兄に伝えたくて…
「桜井君、ね?
私が…ゆっくりでも…
うまく話せなくても…ニコニコッて…
あんな、素敵な人で…人気があって…
でも、私のこと…とても
大切にしてくれ、て、る……」
ふと、ここまで言ってまた“好き”を言われてないことに行き当たり、それ以上兄に対して“二人の想い”を伝えられなくなってしまった…。
兄はそれまで黙って聞いていたが、私の様子が変わったことに直ぐに気がついた。
「咲希とあいつは本当に、お互いに
“好き”って想い合ってるのか?」
冷めた声でズバリ核心を突いてきた…。
私はうつむく他なかった。