真人の言う“頭じゃなく心で…”って、俺にとっては自然なことのように思えた。


星谷さんにとっても、あれこれ考えるより、自分に正直に素直に、俺に向いていることが、自然なことになるといいなと思った。


それが、“甘い”っていうなら、言わせておく。


誰かに迷惑かけたり、不快な想いをさせるんじゃなきゃ、いいだろと思う。


バスケしかなかった俺の人生が、ガラッと変わったんだ。


…*…*…*…*…*…*…


6時20分過ぎ、着替え終わり携帯で星谷さんに連絡しようと中庭に出ると、いつものようにしゃがみこんでいる後ろ姿を見つけた。


日が長くなってきたとはいえ、まだ5月半ばで、夕方は涼しい風も吹く。


こんな時間まで待たせて、風邪をひいたりしてないかな…なんて華奢な背中をみて思った。


「寒くない?」


そっと話しかけると、今回はそれほど驚かなかったが、それでも、肩がピクッとして振り向くと、俺を見て笑顔になってくれた。


「…あっ…はいっ!
…お疲れ様です。」


「待たせてごめんね。
なんかさ、昨日の今日で…
夢心地なんだけど、少しでも
一緒に居たいなぁなんて、ね(// ▽//)」


そう言うと、パァ~っと赤く染まっていく頬。