「甘いなぁ～♪」


真人が俺の後ろに並びながら言う。


「何が？」


意味が解らない俺は素直にそう聞く。


「竜が、に決まってんじゃんか!!」


「はぁ!?」


さらに聞こうとしたが、順番がきて俺はパスをうけてドリブル、レイアップシュートを決める。


ピィ～！「５分水分休憩～」とマネージャーが叫ぶ。


俺はさっきの事を聞きたくて真人の側にかけよった。


「ﾊﾊｯ、来ると思った…」


ドリンクボトルを手に、にやつきながら話す真人。


「甘いってのは星谷さんに対してだよ
彼女居たことないお前が、
頭で考えるより先に、
心で求めるままに彼女に接してて、
それがすげぇ、甘い。
ラブラブな感じってわぁけっ！
まっ、いんじゃね？
そのまま、思うまましばらくやってみ…」


そんな風に言われて、ついさっきの、練習中に彼女が初めて最前列に顔を見せてくれた時の、俺の行動を言ってるんだと分かった。


ほんと、あのときは前に押し出されるようにしてきた星谷さんの姿をみたら、無意識に駆け寄ってたんだ。


でも、昼みたいに泣きそうな顔はしてなくて、「一緒に帰ろう」ってのにも、ちゃんと返事くれたし。


つい、可愛くて頭を撫でてしまって、周りの視線が近くて、さすがの俺もやり過ぎたか？…って少しは反省したけど。