一瞬、手紙のことを思い出した。
『竜と別れるなんて考えられない』
そう思い震える自分を抱えながら、口を開こうとするが、あまりの恐怖でただ口がパクパクするだけで喉が締め付けられたように苦しくなった。
「莉沙、やばいよっ!!
こいつ、おかしいってっ!!」
私が呼吸出来てないとわかると、二人は慌てて走って行ってしまった。
何故かそこにタイミングよく救急車が来て、処置され病院へ搬送された。
…*…*…*…*…*…*…
病院ではストレスによる過呼吸を起こしたと言われ、蹴られたお腹には湿布を貼ってもらい、迎えに来た義希と帰宅した。
「そいつら、学校の先輩?」
「うん、制服だったし…
たぶん、竜の…ファン…?
でも、手紙の人とは違う、気がする」
「ったく、竜斗のやつ…
まっ、犯人が別ってのは、俺も
そう思うな…ストーカーとか、
やるやつがそんな風に直接
手を出すなんてちょっと、な…」
「私ね…先輩達が走り去るとすぐ
救急車が来たのが不思議…」
「あぁ…きいたら、通報が
男の声であったって…
お前がやられてんのを誰かが見てた…
……まさか…お前のストーカー…か?」
「え……こ、わい…よ…
今も、みられて、る?」
私はお腹の痛みなどすっかり忘れ残暑厳しい日なのに、鳥肌がたつほど震えていた…。