恐怖が私を襲う


今にも動き出しそうな骨格標本は私を平常心でいられなくさせた。

「…うぅっ……やだぁ!」

〈ガラッ〉
「日向っ!」
「中島…!」

「…っ…どうしたんだ?」
「こっ…ひょう…ほ…ん…」
もう涙と動揺で舌が回らない。

「標本?」


中島新は持ってきたものをおいてどんどん奥へ突き進み、「これか!」と言った。
中島新はなんだか奥の方でガサゴソやっている。
「な…かじ…ま?」
「これでいいだろ」
と黒の布のかかった中は今さっきの骨格標本であろうものを見せた。
黒い布の形のほうが怖い―――


「これが怖いとはなぁ」

中島新は私を落ち着かせてから準備に入った。

「以外とかわいいとこあんだな。」
「意外とってなに。」
「だからか!図書室の掃除が嫌なのは。一時期幽霊の噂出たもんなぁ。」

「あぁもう思い出すでしょっ」

「え?思い出しちゃった?わりぃ…」

「早く終わらせよ。」




狭い準備室に二人の声が響いた。