「おお、ノムさん久しぶり~どうしてるんだって話をしてたんだよ。」


「ご無沙汰してます。」


店主の楡崎(にれさき)さんが

相変わらず笑顔で迎えてくれる。


「車で来ちゃったんで、飲めないんで、食事だけでもいいですか?」


「パーキング空いてるから置いていきなよ、明日取りくればいいさ。」


「はあ、じゃあそうさせて貰おうかな?

 ほら、入って。」


「え?誰かといっしょか?」


音々が遠慮がちに暖簾をくぐると、

一瞬空気が止まった。


「こんにちわ。」


ハニカミながら挨拶をする音々。


みんなの注目を浴びて、俺の後ろに隠れる。


「え?彼女かい?」


「ああ、まあ、近いうちに結婚します。」


俺の言葉に


「ええ~~~っ」

と一斉に驚声が上がった。


ま、そうなるだろうな、


なんたって前回来たときは、

結婚なんて無駄的なことを羽瀬さんと論じていたのだから。