「そんな事より、さおにはもっと心配する事があるんじゃないの？」

「アキラ？……何怒ってんだよ」

中学からの親友、三上旭(みかみあきら)。
ただ一人の女友達だ。



　中学入学当時、美人であるあまり女子からは孤立していた彼女は、同じく男っぽくて女子の輪に入れなかった私と気が合った。

彼女は女子として自分を自覚し始めた私の戸惑いに、何度も助けをくれた。

克幸との事でも相談にのってくれるのは彼女だけだ。



「怒るというか、心配してるの」

旭は私の顔を見て、小さくため息をつく。

「心配？何のだよ」

「最近の伊波くんの人気ぶり、気にならないワケじゃないでしょ？」