「……へ?」
聞き間違いか、空耳か、私は自分の耳を疑った。
「あかねちゃんが好きなの」
「そ、それは……幼馴染みとして、とか?」
「ううん、真剣に」
山本の態度からして、冗談ということではなさそうだ。
私の心臓が徐々に騒がしくなる。
顔も多分、真っ赤だ。
「今はいいけど、もうちょっと落ち着いたら返事聞かせてね」
私がそれに対してゆっくりと頷くと、山本は満足げに笑った。
山本の笑顔がなんだかくすぐったい。
「あ、じゃあここで。またメールするから」
家への別れ道に差し掛かると、山本はそう言って、私の返事を聞かないまま足早に歩いて行ってしまった。