部屋に戻った私は勢いよくベッドにダイブして、枕に顔を埋めた。
弟に言われたこと、妙に意識してしまう。違うのに。そんなんじゃないのに。
「……ん?」
目に入った携帯がチカチカ光っているのがわかった。どうやらメールが来ていたようだ。
手にとって見てみると、差出人は山本だった。さっきのメールの返信だ。
どうせ大した内容じゃない。そう思いながら本文を開くと、思わず携帯を投げ出しそうになった。
“そっちこそ遅れんなよ!デートに遅刻は厳禁だ(笑)”
なんなの、どいつもこいつも!
……語尾に「(笑)」とついているところを見ると、ちょっとした冗談のつもりなんだろうけど。
私はそのメールに返信はせず、静かに携帯をもとに戻した。