今度は俺が、疑われている。


当たり前だ。


あんなふうに、突き放したのだから。



「……違う……会いたかったんだ」


「……本当に?」


「遅くなって、ごめん……」


「……本当、なんだよね……?」



深音のぼんやりしていた目に、微かに光が宿った気がした。


彼女が何を期待しているか、何故か今だけは、わかった。



「本当だ。

まだ好きだから、会いに来た」



飾り気のない言葉。


素直なそれを聞くと、深音の青白い顔には仄かに赤みがさして。


ぽろぽろと、真珠の涙を流しながら。


嬉しそうに、微笑んだ。



「……あたしも、まだ、大好きだよ……」



小さな声に、今度はこっちの涙腺が緩む。


どうして、疑ったりしたんだろう。


一時でも。


どうして、愛しい人が一番心細い時に、そばにいてやらなかったんだろう。