「……よく、寝れるな……」
起きた時、突然の大音量に驚くといけないと思って。
ヘッドフォンをそっと、はずしてやった。
「え……?」
はずしたヘッドフォンから漏れてきたのは、聞き覚えがある曲だった。
と言うか。
「……アホか……!」
久しぶりに、つっこんでしまった。
ヘッドフォンから漏れ聞こえてきたのは。
間違いなく、俺の歌う“Dear you”だった。
何で、何で、何で……!
「あっ、すみません、堺沢さん」
「はいっ!?」
突然母親が帰ってきて声をかけたので、驚いてしまった。
「それ、つけておいてあげて下さい。
はずすと怒るんです」
「あ、はい……」
そっと、ヘッドフォンを耳に戻した。
「これって……」
一気に速くなってしまった鼓動を落ち着けながら、母親に訪ねると。
相手も落ち着いた様子で、話し出した。