紙袋を抱えていたから、コインランドリーに行ったのかもしれない。
個室らしいその部屋の入口に放置されてしまった。
少し歩みを進めると、すぐに白いパイプベッドが現れた。
窓の外には、すっかり花が散り、青い葉にとって変わられた桜の枝が見える。
「……」
ベッドには、また一段と細くなってしまったような深音の体が、横たわっていた。
静かな寝息をたてている。
その顔は思っていたよりも、安らかだった。
見慣れた、ノーメイクでも綺麗な顔。
長い睫毛。
何も変わってない。
俺の、愛しい人。
こんな再会が、嬉しいのか悲しいのかわからない。
ただ、胸が熱くて、痛い。
シャカシャカと、小さな音がする。
それは彼女の耳にされたままのヘッドフォンから聞こえるようだ。
深音の顔の横に、ポータブルCDプレーヤーが置いてあった。