それは次第に大きくなっていく。


 ・・・う・・・こう・・・行こう──


少女の声がした。少女の声だと確認できた瞬間、耳鳴りはぴたりと止んだ。

目を開けるとそこには少女が一人、立っていた。
肌は白く、目はぱちくりと瞬きをしていた。
その目は私をじっと真っ直ぐ見つめていた。不気味だった。


「・・な・・に。」

何が起こっているのかも分からず、懸命に搾り出した声だった。


「初めまして、メイ。」

少女はプログラムされたロボットのように、無表情で口を開いた。


「だれ・・・。」

「今、この世界でこうして動いているのは私とメイの二人だけよ。時間を止めているの。すぐに気付いたでしょう?いつもと様子が違うこと。」

時間を止める?
何を言っているんだろうか。
確か、その手の話は、人間が勝手にあらぬものを創造して、作り出したものである。