羚side

"消えちゃえばいいのに"
"早く死んでよ"
"理事長の娘だから何?"

毎朝靴箱には沢山の手紙。

新聞の字を破って繋げて作ったような手紙。

まるで犯行予告書みたいな。

こんな毎日に慣れた自分が心底嫌になる。

重い足をゆっくり進め、教室に向かった。



「季原さん?」

「何? 私は忙しいのだけれど」

教室に入ると数人の女子がニヤニヤとした顔で歩み寄ってきた。

「今日の午後、空いてる?」

「だから忙しいと言っているじゃない。これだから雌豚は馬鹿なのよね。そんなんじゃ大学にも行けないわよ?」

「なっ! 何、私達を雌豚だと言うの?」

「信じられない、雌豚は羚じゃん。」

返事をするのも面倒臭くなって黙って本を開く。

また明日も、明後日も、こんな毎日が続くんだ。