「どうかしたか?」
物思いにふけっていた様子を察した殿は‥心配そうに私を見つめ尋ねた言葉に我を取り戻し慌てて取り繕った。
「うううん…。
何でもありませんわ…。
では濃姫は‥まだ京都にいらっしゃるのですね…。」
「そういう事だ…。
お主達に会うのを楽しみにしておったからのう…。
お主達が無事と聞けば…明日にでも駆けつけるかもしれぬぞ!!」
殿は上機嫌で私達に濃姫の話題を楽しそうに話した。
ブッブッブッブッブッ…。
ちょうどその時…諷馬のズボンのポケットから携帯のバイブ音が鳴り響いた。
「誰だろう…!!」
諷馬は携帯を取り出し…ディスプレイに目をおとした。
「――――ママからだ!!」
「えっ―!?
ど、ど、どうしよう…!
と、と、とにかく何の用件か聞いてよ!!」
突然のママからの電話に乱入され…困惑しながら諷馬に電話にとるように進め手を重ねて懇願した私に…諷馬は大きな溜め息をついた。
「もしもし…!
…何?」
ふてくされ気味で…電話にでた諷馬は私の様子を横目でチラチラと見ながら通話を続けた。