濃姫の発言に殿の顔色を窺いつつ濃姫と殿を互いに見回した。


 「確かに…。
 それも…一理あるな。」


 殿の言葉に濃姫は…前に進みでると両手を揃えてひれ伏した。


 殿は私を抱きかかえたままで跪いた。


 「生駒のねえ様…。
 この…濃…。
 ねえ様と共に暮らせる日を待ちわびておりました。

 この濃…。
 生駒のねえ様に心よりお仕えいたしとうございまする。」


 濃姫は律儀に私なんかにひれ伏して私を歓迎してくれた。


 「濃…。
 頼んだぞ…。
 吉乃の事頼む…。」


 濃姫は…美しい黒い瞳を細めて強く頷いた。


 「ええ…。
 お任せ下さいまし…。

 生駒のねえ様…。
 何なりとこの濃にお申し付け下さりませ。」


 濃姫のその態度に…御家来衆も安堵の息をつき次々に平伏して私に忠誠を誓ってくれた。


 「殿…。
 濃姫様…。」


 うろたえる私に濃姫様は私の手をとり温めた。


 「濃の事は…何も心配いりませぬ…。
 濃がここにいれるのも…生駒のねえ様のお陰でございまする。

 殿が…生駒のねえ様を正室にと申していますゆえ…格なる上は…生駒のねえ様の正室に濃をしてくださいまし…。

 それで…今はよいではございませぬか…。
 ねっ…。
 殿…?
それで…よろしいですよね…。」