全員の視線が膨らんだ荷物に注がれ一斉に諷馬と徳家君を先頭にして、彼らの背後に寄り集まり二人の身体を押し出した。


 「ちょっ…ちょっと押さないでよ…。」


 嫌がる諷馬は…抵抗しながら恐怖心に苛まれ…身を寄せ合った私達の中に無理矢理入りこもうとしてきたが逆に身を押された反動でトランクの中に突っ込んだ。


 バサッ…。


 その一瞬…。


 布が一枚ハラリと空に舞い上がったと同時に…何かの影が動いた。


 「わっーーー!?」


 みんな恐怖のあまり危険を察知して、その場から逃げ出し駐車してある車の影に隠れた。


 「なになになに~?」


 トランクの中に突っ込んだ諷馬が…皆が声をあげて逃げ出したのに気づいて声をあげ身体をばたつき声をあげた!


 ファサッ…。


 ハラヒラと宙に舞った布が諷馬の頭上にかかり…諷馬は絶叫して後方へと倒れ込んだ。


 その後…黒い影はゆっくり立ちあがり…もがく諷馬の横に飛び降りたのを遠目にみた私達は…慌てて懐中電灯をあてた。