諷馬が…拳を握りしめヘコんだ穴の手前で形どり検証してみせた。


 「っていうか…拳サイズというか形がまるっきり拳じゃないの?
 これ?」


 他の日本史サークルの2人組も興味津々にヘコミ傷をみつめた。


 バサバサバサバサッ…。


 突然…鳥の羽音が聞こえた。


 「きゃっ…!?
 何っ…!?」



 私は驚いて声をあげたその横で…冷静に濃姫は鳥の羽音の聞こえた方向を一点に見据えていた。



 「どうかしました?」


 戸塚教授が気になって…濃姫に尋ねた。

 「いえ…。
 あの鳥達が先程からあの一帯に集まっているようなので…なぜかな?と気になりまして…。」



 濃姫の言葉に…一斉に鳥達が羽音を羽ばたかせ戯れる方向を見た方向には…。


 「俺の車…??」


 諷馬がポツリと呟く声に…私もゴクリと生唾をのみこみ頷いた。


 「ちょっと開けてみてよ…!?」


 「ええっ…!?
 マジで…??」


 緊張感が一気に諷馬の車に注がれた。


 私は嫌がる諷馬を盾にして…車へと近づきトランクをあけるように勧めた。