恐怖に顔を引きつり話した諷馬の言葉に私はその時の事を思い出した。


 「そういえば…。
 確かに幽霊見たっていって叩き起こされたんだったね。」


 私の言葉に…深く頷きまた声を上擦らわせた。


 「その後‥姉ちゃんを叩き起こして近辺を探したけど見あたらず…最後トランクの後ろを探してたら例の鳥をみたんだよ。」



 「そうだった!
 それで…諷馬が早く出たいって言い出したから権田教授に相談しに行きそれから京都に向かう事になったのよね。」


 ここに来るまでの経緯を思い起こし話した。


 「その幽霊って…生駒さんを見てたって言ってたけど…どんな感じだったの?」


 私達の話を黙って聞いていた徳家君が興味深そうに諷馬へと尋ねた。



 「えっ…。
 パッとみただけだし…いくら夜明け近くだからっいっても薄明かりだったからハッキリは覚えてないけど多分…紺色のジャケットみたいなの来てたかも…。」


 「紺色のジャケット…?」


 徳家君が再度聞き返した。


 「うん…。
 ジャケットみたいな上着っていうのかなあ…。
 作業着みたいな…。」


 諷馬の言葉に全員が一瞬息をのんだと同時にピンときた人物が頭の中に閃き確信めいたようにみんな一斉に声をあげた。