「パーキングでお会いしたくらいしか…その後の行方はわからないんです。」


 濃姫の真剣な眼差しに…私は申し訳なくなりお詫びした。


 「そうですか…。
 では…この鳥に見覚えはありませぬか…?」


 濃姫は目を合わせない私の様子を悟ったのか…いきなり立ち上がり窓を開けると指笛を鳴らし鳥を呼び寄せた。


 鳥は羽音を上げながら濃姫のしなやかな腕に掴まり大きい羽を一振りした後身体におさめた。


 「あっ…。」



 その鳥を見つめていた様子に私は声をあげた。


 最後のパーキングでみた諷馬と共に見た鳥の記憶と重なった。


 「その鳥と同じような鳥をここに来る途中のパーキングでみました。
 うちの弟も見ています。」


 「諷馬君も?」


 私の言葉に権田教授が続けて聞き返した。


 「徳家君が運転してたレンタカーのトラックの荷台で鳴いてたみたいなんです。」


 「そ…そういえば…。
 レンタカーのトラックの荷台のドアがへこんでいるっていってたよね。」


 権田教授がパーキングで起こった奇妙なヘコミ傷のいきさつを濃姫と戸塚教授に話してくれた。


 「ちょっと待って…。

 その扉についたヘコミ傷って大きさはどのくらいのものなの?」