「濃姫様…。
こちらが…例の吉乃様の夢を見られた生駒真帆さんだ。
濃姫にご挨拶を…。」
「えっ…。
生駒 吉乃でございます。」
見るも聞くも劣ると言うのに戸塚教授は‥吉乃様のなんて紹介したものだから夢だけで舞い上がっていた自分に後悔した。
「生駒の姓を名乗られているという事は‥また今世も生駒のお家に‥?」
「えっ…。
ご先祖様の事は…よく知りません。
聞いた事もないので…。」
綺麗な白い肌に澄んだ黒い瞳で捉えられてうろたえつつ答えた。
「おほほほ…。
まあ…そんなに堅くならないで下さいまし…。」
突然濃姫様に堅くならないようにと言われて笑われ…口元をひきつらせながら笑った。
「あの…。
す…スミマセン。」
穴があったら入りたいと思う程恥ずかしくなり私は顔を赤らめた。
「戸塚殿…。
あれを…。」
「はっ…。」
敬意を示しながら接する戸塚教授は、濃姫の前に木箱をさしだした。