「中へ…。」


 扉の向こう側から品のいい雅な声が聞こえてきた。


 …ゴクリ…。


 喉を鳴らして生唾を呑み込んだその扉がゆっくりと開き戸塚教授に続いて私…権田教授に続き部屋の中へと通されると上座に鎮座した女性が両手をついた状態で畳にふしたまま私達を待ち受けていたのに驚いた。


 「生駒君…。
 とにかく座って…!?」


 その様子にただ驚いていた私を小声で権田教授に叱られ下座へと用意された座布団に、無理矢理座らされて頭を押さえつけられたまま平伏した。


 「話した女性を連れて参りました。」


 まるで時代劇さながらの状態で…戸塚教授がその女性に声をかけるとゆっくり頭を上げた。


 「どうぞ…。
 お顔を…。」


 先に頭を上げた女性に促され私達3人はゆっくり頭をあげた。


 目の中に美しい黒髪の女性が着物姿で座っているのが飛び込んできて女の私も思わず見とれてしまい頬を赤らめた。


 「…濃にござりまする。」


 綺麗な黒目に吸い込まれそうになり…思わずなんか自分の目が充血していないか思わず心配になった。