自己紹介もそこそこに…いきなり本題に入った戸塚教授は、私達を本能寺の本堂へと案内してくれた。


 「ここですか?」


 戸塚教授は、本能寺の本堂の扉を開けて住職さんを呼んでくると言い私達はお堂で待たされた。


 「何かあったんですか?」


 他の日本史サークルの二人が権田教授に話した。


 「そうだね。
 生駒君は…とりあえずICレコーダーの準備を…。」


 「あっ…!
 はい…!」


 「ホントにマスコミなりたいって思ってるの?」


 諷馬がいつもの呆れた口調で皮肉を言ったのに「ウルサイ…。」と返した時…戸塚教授が住職さんを連れて帰ってきた。

 「よく遠い所からきて下さりました。」

 深々とお辞儀を下げた住職さんに続き私達もお辞儀を返した。


 「来たばかりで申し訳ないのだが…生駒君と権田教授の二人は奥の間にきてくれないか…。
 あとの者達は、ここで住職さんが説明してくれるから参拝したあと話を聞いてもらえるかな?」


 ロクな説明もないままに私と権田教授は…奥の間へと連れられ案内されて奥の間で足を止めた。


 「戸塚です。」


 廊下に跪いて扉の向こうにいる何者かに向かって声をかけた。