一台ずつ中の様子を確かめながらの気の長い作業を続けていた殿は、人の声に気づき小型なトラックの影に身を潜めた。

 声の先に耳をすまし様子を窺う先に、必死の願いが通じたのか吉乃似の娘の姿を見つけた。

 ホッと肩を撫で下ろしたのも束の間…家康似の男に別れを告げた後、先程出入り口近くで娘を呼びよせた男と共に四輪の車へと乗りもうとしている様子を窺ながらひとまず家康似の男の背中を追った。

 やがて小型のトラックの中へと入っていくのを見た殿は、転がっていた 石をトラックの後ろに投げつけ別の車に身を潜めその間にまた指笛で鳥を呼び寄せ相手の出方を待った。


 音に気付いた家康似の男は…殿の思惑通りトラックの後ろにきて最初に辺りを見回してトラックの後ろの扉を開け中を確認した様子に…石を今度は密かにトラックの前方へと周り小石をぶつけた。

 その音に再び気付いた家康似の男は…周りを見ながら前方へと歩みよったのを確認すると足早に後方へと周り音を肩に乗せていた鳥を払い落としてトラックの中に滑り込み物影に身をひそめた。


 鳥の羽音に驚き駆けつけた家康似の男は、地面を歩く鳥を見て安心しトラックの中をざっと見ながら扉をしめた。