なんと…!?
 どのような作りだ…!?


 目の前にある自販機から流れる箱の中から軽快な音色に心を奪われた殿は自販機の摩訶不思議な作りに驚き仕掛けを探したが見つからなかった。



 これも…「魔王の書」の力なのか…。


 やがて暫くすると…カップがどこからともなく現れ小さな小窓が開いた。


 殿はその小窓が開いた先を覗きこみ何者かが潜んでいないかを確認すると…カップをとりだした。


 その様子を娘は…呆れた表情を浮かべて振り返った殿の背中を見守っておられましたが…殿のあどけなさに微笑まれ役目を終えたとばかりにその場を去ろうとしましたが…殿はそのカップに入った飲み物を娘に渡してもう一度と催促なされました。


 その様子にまるで幼子を扱うように、もう一回硬貨を自販機に投入し軽快な音色が再び鳴り響いた。

 殿は嬉しそうにまた自販機に夢中になり手触りで撫で回しておられました。


 やがて…。
 再びカップがどこからともなく現れ小さな小窓が開き手に取り目を輝かせた。