最後に交わした言葉は…。


 「殿の夢は私の夢…信じてくれている後家来集の為にも天下統一なされませ…!」


 …だった。
 必ず見せてやる…。
 躍起になり天下を追い求めている間に吉乃は…死んだ。

 わしを責める事もなく…皮肉にも死に顔に笑みを浮かべて帰ってきたわしを出迎えた。

 思えば吉乃がいなくなったわしは…他の誰でもない吉乃に誉めて貰いたかったのだ…。

 吉乃と共に戦のない場所で暮らす為に戦を50歳までには…家の為、夢の為に捧げ天下を平定し、そこから先は…吉乃と穏やかに暮らす為に…。

 だから…“魔王の書”の術で“時を渡る術”と“若返り”の魔術を目の当たりにした時は‥吉乃の生きる時代に戻り吉乃にどうしても伝えたかった‥。
 そして夢の為に犠牲になった若さを手に入れやり直しかった。


 しかし何の因果か異界の地と思ったこの地は‥濃の文には‥400年後の日本と書かれてあった。

 何故…ここにきた。

 吉乃どころか…武将もいないこの地に…。