「すぐに…引き返せ!?」
殿はドライバーの柴田に頼んだか…彼は難しい顔をして答えた。
「えっ…!
もう過ぎてもうたしな…!
それに…名古屋に積み荷卸す予定あらへんからな…!!」
「なぬっ…!」
ドライバーの柴田の返答に帰郷の夢はたたれ絶句した。
「名古屋になんや用事か?」
殿の落ち込みようにドライバーの柴田はワケを聞いた。
「わしの育った場所だ…!!
そこで好きな女とも会った。」
「そっかあ…!
引っ越しかなんかで離れたんか?」
ドライバーの柴田は殿の返ってきた言葉に尋ねた。
「…2歳の時からその城の主だったわしは…母親に疎まれわしの命すらも何度も狙わせた挙げ句の果てには弟まで利用した。
わしの城であってもひとたび帰れば…戦場だった。
誰も信用できない…と思っていたわしにいつも…明るい笑い声で出迎えてくれたのは…あの女だけだった。
あの女に出会い…。
わしは…尽くす意味も尽くされる意味も知った。
あの女の明るい笑みを絶やさぬよういつからか天下を統一の夢を見た!」
「そうかあ…。
なんや…複雑な家庭環境やな…!
命狙うって児童虐待やないか!
でもあんたの惚れた女の話はええ話や!
あんたその女によほど惚れとるんやな?
その女はまだ…名古屋におるんか?」