本能寺址…?


 ふと殿は自分の衣服をつまみ眺めた時再び年配の女達の会話が聞こえてきた。


 「ほんまにー!
 しかも…消防士はんの盗まれた作業服をきた犯人を探してはるみたいやで…!
 青い作業服と帽子を着用した男ゆうとったな!」


 つまんだ制服の色をみながら…自分のことを話してるんだと言うことだけはわかった。


 「ほんま…でもおかしな話やなー!
 最初は…消防士はんの防火服きとったみたいやけど…そっちの方はきれいにたたんで消防車の助手席に置いてあったみたいやで!」


 「やっぱり…!
重いからちゃう?」


 年配の女達の声が遠ざかりながらの会話だったが…殿は昨夜の出来事を思い浮かべ自分を追う者がいることを悟り昨日借りた服を着たままの逃亡は地獄を見ることを覚悟した時だった。


 “ザッ‥。”


 何者かの気配を感じ殿は息を潜めた。


 ザッザッザッ‥。


 段々近づく足音はやがて殿の穴蔵の近くで足音をとめた。

 このままでは見つかると悟った殿は‥金判を穴から投げた。