走りさった方向に近づいて様子をみた時、もう一台先程の乗り物が赤い光を放ちけたたましい音をならしながら走り去っていった。


 あまりうかつに出歩くのは危険だ…と感じあたりをみると小高い丘のようなもので、ところどころに丸い穴が開いている不思議な穴蔵を見つけて恐る恐る近づいた。


 丸い穴からその様子を伺うと何もいない様子に安心し中に入り眠りについた。


 チチチ…。



 鳥の囀りが聞こえ薄明かりの陽が丸い穴から差し込んできたのに目を覚ました。


 「まあ…物騒ですわー!」


 近くを通り過ぎる年配の女達の声に気付いた殿は穴蔵の壁に張り付き耳をたてた。


 「ほんまに…本能寺址の建物近くで昨日落雷あって火事になったらしいけど…その下に古い地下のお堂があったちゅう話やないですか!?」


 1人の女が声を潜めながら話した。


 「奥さんも聞きました?
 うちも聞きましたわ!
 何でも昨日その地下のお堂に落ちた消防士はんの服が盗みとられはったんでしょ?
 せやけど…地下のお堂もかなり深いところに埋まっておって密室やったちゅう話やないですかー!
 怖いわー!」