殿の言葉に感動した若者は感涙をもらしビールをのんだ。


 「…そのバンドとやらはどのような物だ!?」


 「えっ…!?
 ちょっと待ってや…!」


 若者は…何やらポケットから小さな薄っぺらいものに紐が巻きついた物を取り出して紐を解き放ち殿の耳にあてた。


 「なんじゃ…?
 これは?」


 しばらくして耳をさくような重低音とともに紐の先を耳に突っ込んだ辺りから激しい音色とともに歌が聞こえてきた。


 殿はその音に驚いたが…珍しい音色に聞きほれて次第に音に合わせて舞を踊った。


 突然立ち上がり舞を踊り始めた殿に驚いた若者はその様子を唖然と眺めていた。
 やがて音色がやんだ所で若者が拍手したのに気づき耳から紐の先についているものを外し声をあげた。


 「よいな!?
 お主…1人でも大丈夫だ!?
自信を持て!?」


 拍手を送ってくれた若者に先程のモノを返しながら殿は満足そうに褒め称えた。


 「いやあ…!
 なんか…あんたもめっちゃ踊り上手いな!」