その場にいた者が大きく頷き…それぞれジュースを買ったり、お土産を覗いたり自由行動を取り始めた様子を見て、私と諷馬はとりあえず休憩所を後にして車に戻ってきた。


 「ふわあ…。
 さすがにちょっと仮眠とるよ。」


 大きな欠伸をしながら運転席のシートを倒した諷馬は、そのまま寝息をたてて爆睡した。


 “ジュースでも買いに行こうかなあ…。”


 運転席で眠る諷馬を眺めて、私は助手席のドアから手を離して深呼吸した。


 夜明けが近いのかパステル調の青い空にオレンジと青系のグラデーションが薄明かりの空にかかり、あとは朝日を待つばかりといった幻想的な光景を映し出した。
 その美しさに見とれた私の脳裏に夢の中の夕刻のキスシーンが重なり一人で頬を赤らめた。


 「あれは…妄想だったんだ!」


 頭に浮かぶロマンチックな夢を振り払い‥私は車を離れようとした時、誰かに名前を呼ばれて振り返った。


 「生駒さん!」


 振り返った先に、徳家君が手を振っている姿を見つけ、私は彼が運転するトラックの後ろに歩み寄った。


 「徳家君!
 寝なくても平気なの?」


 「うん…。
 その前に寄ったパーキングで仮眠とったからね。
 あっ…。
 これ…どっちか選んで!」